NEWS

株式会社アサヒ商会 DX経営方針

企業価値の向上と差別化を目指すため、既存ビジネスの変革・新たなビジネスモデルの創出を主眼においたDX経営方針を策定しました。

1.市場認識

 近年、AI・IoT・メタバース等に代表されるデジタル化・デジタル技術を活用し、企業経営におけるビジネスの深化と効率化、そして新たな価値創造に向けた取り組みは、業界や地域を問わず世界的な潮流となっています。こうしたDXと呼ばれる取り組み、およびその推進のための社内リソース拡大施策の重要性は、地方の中小企業経営においても同様です。しかしながら、既存事業を深く理解し、かつ最新のデジタル技術に通じた人材を地方で採用することは極めて困難です。また、既存従業員のリスキリングに取り組むにしても、ひとりの担当者が習得すべき内容が多岐にわたるため、ハードルは非常に高いものとなります。こうしたDX人材不足は、地方中小企業のDXを停滞させる大きな要因となっています。

 この状況の中、アナログ需要の低下を見越して、ネットワーク構築やアプリケーションの販売・導入してきた地方の事務機器販売業社は、従業員の基本的IT素養や、顧客数の多さも相まって、地域に根を張ったDX推進役として大きな役割を果たせる可能性が期待されています。

更に当社の小売店・リサイクル事業においてもDXのニーズが高まっています。仕入から販売までのプロセスにおけるアナログ業務をいかにデジタルで効率化を図ることは、最低賃金の上昇を含め、個々の生産性向上が求められる時代において、極めて重要です。

このような取り組みにより、地域経済への貢献が期待されるため、事務機器販売業者は今後ますます重要な役割を果たしていきます。具体的な施策や成功事例を共有しながら、他の業者や地域全体を巻き込んだDX推進が進むことが望まれています。

2.経営戦略

 私たちは、76年にわたり地域の人々と企業に「仕事をやりやすくする道具と環境」を提供してまいりました。私たちは文具を「仕事をやりやすくする道具」と「人生を豊かにするためのアイテム」という二軸の観点で見ています。それが文具の本質です。

前者の観点では、オフィス環境づくりやITインフラの整備、企業へのデジタル化支援も含まれます。文具の本質が仕事を楽にすることであるがゆえに、アナログ文具に限らず、アプリやPC、ネットワーク環境といったデジタルツールも同様に仕事の生産性を上げる道具と考えています。一方で、人生を豊かにするためのアイテムとして、文具小売店を通じてお客様の生活を楽しく豊かにする道具を提供しています。

私たちのビジョンは、「デジタルの力で地域のワークスタイルを革新し、お客様と共に新たな価値を創造するビジネスパートナーとなる」ことです。

以下の取り組みを行います。

全従業員がデータを自由に収集・活用できる環境を整え、合理的で迅速な意思決定を可能にします。データドリブン経営を徹底し、業務効率を最大化するとともに、お客様へのサービス品質を向上させます。また、自社で培ったデジタル技術やノウハウを活かし、業務プロセスの自動化や生産性向上を推進します。リスキリングを通じて全社員のデジタル素養を高め、組織全体での革新を促進します。

さらに、「スマコンサービス事業」や「ノーコードによる顧客支援事業」を立ち上げ、地域の中小企業のDX推進を伴走型で支援します。お客様の課題解決に寄与し、新しいビジネスモデルの共創を目指します。クラウド化やセキュリティ強化、最新のSaaSやノーコードツールの活用など、新しい技術やサービスを積極的に導入し、自社をロールモデルとして常に進化し続けます。

地域に根ざした企業として、DXを通じて地域全体の持続可能な発展に貢献します。他の企業や地域コミュニティと協力し、デジタル化の波を共有・拡大させます。私たちは、「ワークスタイル変革支援業」として、デジタル技術を駆使し、お客様の未来を共に創造していきます。変化を恐れず挑戦し続け、お客様にとって真に必要とされる存在となることを目指します。

<経営の深化>

 経営判断・販売計画・営業戦略といった根拠に基づく分析や意思決定を現場レベルで提案・実行できる環境づくりに取り組みます。具体的には、各部署における持続的なDX戦略推進のため、デジタル素養の向上を目的としたリスキリングを実施し、属人化していた業務に関する情報を共有することによる、働きやすい職場づくりに取り組みます。また、自社をロールモデルとして、新しい技術やサービスを試験・活用し省力化することで、分析や顧客対応といった生産性の高い業務へ人員を集中させ、人時生産性の向上を図ります。

 環境づくりと自社のロールモデル化に関しては、新たなデジタル技術やSaaSを積極的に導入・活用を行います。クラウド主体のプラットフォームに現場が蓄積した経営・営業・販売などのデータに対し、データポータルを活用することで、迅速な意思決定を現場レベルで実施するものとします。また、小売事業において、kintoneを活用した顧客管理やペーパーレス化、情報共有を推進し、ノーコードツールを現場で活用します。また、売上粗利の向上と業務負荷の削減を実現するSaaSを導入し、リサイクル事業ではファイルメーカーによるデータベース管理を行い、仕入から販売、在庫、売上分析の生産性向上を図ります。

情報の活用水準の向上:データドリブン経営

 現場で蓄積した情報を、全従業員が自由に活用できるプラットフォームを構築します。そして、経営判断・販売計画・営業戦略といった根拠に基づく意思決定を現場レベルで提案・実行できる環境を作ります。また、属人化していた業務に関する情報を共有することにより、働きやすい職場づくりを目指します。

<経営の挑戦>

 経営の深化で培ったデジタルノウハウを、新規事業として立ち上げる「スマコンサービス事業」および「ノーコードによる顧客支援事業」にも活用し、これらを担える組織を育成すると同時に、DX推進の遅れている地域中小企業を対象にしたマーケティング活動を既存顧客と新規顧客の両面で行い、顧客認知の向上を狙います。そのために、WEBマーケティングをはじめとする各メディアにおけるマーケティング活動をデータとして分析するとともに、顧客情報のデータベースを構築し、効果測定のできる販促活動を行います。

新規事業:DX支援「スマコンサービス事業」

 超情報化社会に対応し、選ばれる企業を目指すお客様のために、伴走型経営支援サービスを立ち上げます。オフィスのネットワーク環境やDXの浸透状況を把握し、ESGの視点から企業に潜むリスクや課題を可視化(診断)したうえで、IT環境の改善、業務効率化、リスク回避に向けた支援を提供していきます。

新規事業:ノーコードによる顧客支援事業

 ノーコードによる顧客支援事業を立ち上げます。具体的には、kintoneを活用したアプリ作成の支援を行い、プログラミングの知識がなくても業務効率化やデータ管理を手軽に実現できるようサポートします。お客様のニーズに合わせたアプリを迅速に構築し、業務フローの最適化や作業の自動化を支援することで、ビジネスの成長を後押しします。

3.効果的なDX推進のための体制 

 経営方針の推進強化を図るための全社横断のDX委員会と、これのアドバイザーとなるDX推進本部を組織します。人材育成・採用の観点から、DX委員会におけるキーパーソンを各部署で育成し、全社的なデジタル活用を促進するため、管理職にはデータ分析、現場レベルにはDX学校®(75期 DX学校 社員受講者38名 実績)やノーコードツールの活用勉強会を実施、継続します。新入社員に対しても同様のデジタル教育を行い、各部署での継続的なDX推進を加速させます。新規事業を担うDX推進本部は、研修や他社見学に積極的に参加し、新たな知見の吸収・展開を狙います。また、各方面における専門性の高い外部パートナーとの関係性を構築することで、高度なデジタル技術の取得やセキュリティ対策を講じてまいります。

4.環境整備の具体的方針

 DX経営方針の実現のため、下記3つの領域に対して取り組んでまいります。

クラウド化

 現在オンプレとなっているシステムに関して、全社横断でデータを収集・共有・分析するため、SaaS主体のプラットフォームを現場を交えて構築します。また、各事業の従来業務にSaaSを活用し省力化することで、分析や仮説検証といった生産性の高い業務へ人員を集中させ、人時生産性の向上を図ります。

セキュリティ増強

 年々増大する情報資産を守り、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めるため、外部パートナー及びDX推進本部による対策勉強会を定期的に実施します。また、セキュリティに関する規定の資格取得支援を充実させ、全社的なITリテラシー向上を目指します。

インフラ改善

 クラウドツールを満足に活用するため、DX推進本部が中心となり、PC・スマホ・回線など業務に不可欠なインフラを見直し、最新のサービスや技術を積極的に試し、社内に展開します。

5.達成状況の指標

 DX経営方針の戦略達成状況を判断するため、下記項目を指標として設定します。これら指標について、4ヶ月単位のキックオフミーティングにて全社的にチェックを行います。

<経営の深化>

EDRによるセキュリティ強化(77期)

GoogleWorkspaceをベースとしたデータクラウド化(77~78期)

サテライトオフィスアドオンによるITツールの集約(77~78期)

(点在しているLINEWORK、chatwork,king of time,ワークフローなどの集約)

kintoneによる顧客データベースの構築

ファイルメーカーによるデータベース管理

販売基幹システムの入れ替え(クラウド化、データ分析機能刷新)

デジタル活用スキル勉強会の実施

個人情報保護士取得

<経営の挑戦>

DX支援事業 スマコン事業 1000万円(77期)

  定期支援社数96社

 お客様のネットワーク機器の利用状況を収集・分析したカルテを作成し、機器管理サービスを提供します。また、弊社内でスマコン専任者を育成し、伴走型の支援を実施。さらに、オンサイトサポートを開設し、復旧支援や個別相談にも対応します。これら多角的な支援を通じ、定期的なサポート契約を96社に拡大することを目標としています。

ノーコードによる顧客支援事業 900万円(77期)

 お客様のオフィス内に散在するエクセルファイル、煩雑なメール、紙の書類、そして統一されていないシステムなど、業務の非効率を引き起こしている課題を解決するため、弊社が蓄積してきたkintoneのノウハウを活用し、ご支援いたします。これにより、業務効率化やデータ管理を手軽に実現できるようサポートします。また、アプリ構築に必要な人材の育成も行い、kintone構築支援を20社に提供することを目標としています。

6.トップメッセージ

デジタル技術を活用した企業経営の深化と新たな価値創造

AI、IoT、メタバースなど、デジタル化・デジタル技術を活用することで、企業経営におけるビジネスの深化や効率化、そして新たな価値創造が世界的な潮流となっています。当社は「仕事をやりやすくする道具と環境を提供する」というサービスを通じて、これまで培ってきたデジタル化の経験を活かし、企業のワークスタイル変革支援を目指しています。

現在、DX支援や人材育成に取り組んでいますが、店舗販売やリサイクル業といった部門においては、DXによる革新の余地がまだ多く残されています。そこで本年度は、既存のDX支援・人材育成に加え、自社の小売業およびリサイクル業のDXを進展させ、データを活用した顧客対応力と生産性の向上を目指します。

小売業におけるDXの具体的施策

小売事業では、顧客管理やペーパーレス化、情報共有の推進を目的に「kintone」を活用し、現場でノーコードツールを取り入れます。これにより、売上と粗利の向上、業務負荷の削減を目指すSaaSを導入します。

リサイクル事業におけるDXの取り組み

リサイクル事業では「ファイルメーカー」を活用し、仕入から販売、在庫、売上分析までの一連のデータベース管理を実施することで、生産性向上を図ります。

新サービスの立ち上げとIT投資の強化

また、DX支援事業およびノーコードによる顧客支援事業の新サービス立ち上げに際し、さらなるIT投資を行います。社内のDX推進を強化し、最新のITトレンドやセキュリティ状況に柔軟に対応できる体制を整備します。システムの刷新やツール選定を進め、インフラとツール環境を整備し、全社員が自由にデータを収集・活用できる「データドリブン経営」を実現します。

デジタル教育と組織変革

DX推進に向け、各部署でキーパーソンの育成を目的に「DX学校®」を活用したデジタル教育を行います。管理職にはデータ分析のスキルを、現場レベルではPCの基礎スキル向上やノーコードツールの活用勉強会を実施します。さらに、DX推進本部は他社との連携や研修を通じ、外部の知見を積極的に取り入れ、社内に展開します。新入社員に対しても、同様のデジタル教育を提供します。

セキュリティとITリテラシーの向上

増加する情報資産に対応するため、外部パートナーおよびDX推進本部によるセキュリティ対策の勉強会を定期的に開催し、全社的なITリテラシーの向上を図ります。DX推進をさらに加速させ、迅速な意思決定を現場で実施できる体制を築きます。

このように蓄積したデジタル化の実践ツールや環境を活かし、ワークスタイルの変革と生産性向上を支援する企業として、お客様に貢献してまいります。

株式会社アサヒ商会 代表取締役 広瀬一成